2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

二重生活(ロウ・イエ)

『ふたりの人魚』では上海、『天安門、恋人たち』では北京、『スプリング・フィーバー』では南京と、一作ごとに舞台を移し、ロウ・イエはこの新作で内陸部の地方都市、武漢へと向かった。 中国の経済成長は、沿岸部から内陸部へと進展するとともに、地方には…

ジミーとジョルジュ 心の欠片を探して(アルノー・デプレシャン)

血縁の乗り越えとしての「養子」、権威の脱臼としての「対話」(セッション)。 デプレシャン的な革命のテーマが、フランスからアメリカに舞台を移して展開される。あたかも、カフカが(そしてベンヤミンがカフカに見出した)『インディアンになりたいという…

三里塚に生きる(大津幸四郎、代島治彦) その2

ともするとこの作品は、ジジェク風に言うと、「三里塚闘争を、68年抜きで」と見られかねない。その1の末尾で述べたような、そのような本作の危ういスタンスが最も露わになるのが、おそらく小泉英政のシーンだろう。 機動隊員三人が死亡した、東峰十字路「…

三里塚に生きる(大津幸四郎、代島治彦) その1

いく度も小川紳介の三里塚シリーズの映像が挿入され、三里塚闘争の歴史が参照される。現在表面的には、闘争の跡があとかたもなくなっているように見える風景が、歴史=記憶を重層的に堆積させた場所へと変貌する。とりわけ、闘争の過程で命を落とした死者の…