2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

マイ・インターン(ナンシー・マイヤーズ)

ハンドルを握るロバート・デ・ニーロが、バックミラー越しに後部座席のアン・ハサウェイを見つめる。『タクシー・ドライバー』へのオマージュだと感じさせる、ほぼそのことだけが印象に残った。 『タクシ・ドライバー』の「トラヴィス」(デ・ニーロ)は、大…

暗殺と民主主義

物騒なタイトルだが、三島のことだ。 三島由紀夫は、民主主義に暗殺はつきものだと考えていた。人間は皆平等であり、お互いに一対一で顔を突き合わせる。その時、一つの政治的意見が、一つの政治的意見を殺す。それが暗殺だ、と。 だから、政治というものは…

千坂恭二『思想としてのファシズム』

思想としてのファシズム作者: 千坂 恭二出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2015/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 戦後が忌避してきた、軍や戦争、死への思考をとり戻そうとする本書は、安保法案反対を、「戦争反対」のロジックと言葉…

岸辺の旅(黒沢清)

現在、映画に現れる幽霊は、いったいどのような存在なのか。 言うまでもないが、映画はずっと幽霊を映し出してきた。画面に現れる人物たちは、実在しないが目に見える存在であり、生きてはいないが死んでいるともいえない、光によって構成された人物の影、す…