2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

食うこと、明日、元気に会社に行くこと その2

だが、「食う=吃飯問題」から「身体」や「健康」の政治性に接続されていったとき、革命が受動的革命へと反転していく契機が、すでに内包されていたこともまた事実だろう。例えば、津村は、いわゆる「横断左翼論」の出発点について、次のように回想している。…

食うこと、明日、元気に会社に行くこと

津村喬を読み返していると、津村がやろうとしていた革命が、現在ことごとくひっくり返されているのがよくわかる。反差別、反原発、日中国交回復、日常生活、身体、健康、飯を食うこと、…。津村は、持久戦的に次々と戦線を移動していったが、その足跡を見るに…

ポピュリストの嘘と猥褻 その3

イロニーは、その主張がそれとは別のことを意味する「確信」の「共有」をもってしか機能しない。だが、保田が、そのイロニーの命綱である「確信」という審級をも破棄してしまったとき、「保田のイロニーははたしてイロニーとして機能しうるのか?」(『近代…

ポピュリストの嘘と猥褻 その2

長濱一眞が精緻に跡付けたように、保田もまた、中井が直面した滝川事件に大きな関心を抱いていた。滝川事件という市民社会の衰退に、そこから生起せざるを得なくなる(大衆としての)知識人を、この二人は体現していた、と。その意味で、長濱は、滝川事件を…