2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

人生の特等席(ロバート・ローレンツ)

脚本的にも映像的にも、決して絶賛できる作品ではないものの、それでも何かを語りたくなるのは、やはりイーストウッドの「亡霊」が漂っているからだろうか。自ら一つの幕引きをはかったはずの『グラン・トリノ』の残響が、至る所で立ち騒いでいる作品だ。 次…

チキンとプラム あるバイオリン弾き、最後の夢(マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー)

マチュー・アマルリックを見たくて観に行った。 そのアマルリックの演技が目立たないほど、CGやアニメ、切り絵細工や影絵などを駆使した凝りに凝った画面が魅力の映画だ。 1958年のイラン。アマルリック扮する天才バイオリニストは、家庭のことはそっちの…

倭奴(イエノム)へ 在韓被爆者 無告の二十六年(「倭奴」制作推進委員会、NDU日本ドキュメンタリストユニオン)

いまだに「日本は唯一の被爆国」と言い続けている者たちに対して、この映画は「あなたがたはヒロシマで何も見ていない」(アラン・レネ)と言い続けるだろう。 釜山のスラム街に住む人々へのインタビューをもとに、強制徴用や徴兵によって日本に連行され、広…