文学の器――現代作家と語る昭和文学の光芒（坂本忠雄）

　前に『エンタクシー』誌上で行った、坂口安吾についての座談会が本になりました。

文学の器

　目次は以下のとおり。

　伊藤整「変容」――老いと性と文学（石原慎太郎・福田和也・坂本忠雄）
　色川武大「百」――魂の還る場所、その虚無と救済（長部日出雄・坪内祐三・坂本忠雄）
　小林秀雄から「批評」を考える――「明晰」と「断念」のあいだ（福田和也・坂本忠雄）
　川端康成「雪国」――インヒューマンな近代の体現者（古井由吉・福田和也・坂本忠雄）
　深沢七郎「楢山節考」――無への蛇行者の空前絶後（嵐山光三郎・坪内祐三・坂本忠雄）
　三島由紀夫「豊饒の海」――絢爛たる美の逆説（石原慎太郎・福田和也・坂本忠雄）
　与謝野晶子「みだれ髪」――昭和まで続いた「私」という感情の濃度（高樹のぶ子・福田和也・坂本忠雄）
　織田作之助「世相」――「生」の蕩尽への同意（青山光二・福田和也・坂本忠雄）
　開高健「夏の闇」――内側と外側の秘密（黒井千次・坪内祐三・坂本忠雄）
　永井龍男「青梅雨」「秋」――小説を生かす虚点と実点（車谷長吉・坪内祐三・坂本忠雄）
　江藤淳「成熟と喪失」――批評家の歓喜と苦痛（古井由吉・福田和也・坂本忠雄）
　野口富士男「わが荷風」「かくてありけり」――私小説という装置の仕組み（佐伯一麦・坪内祐三・坂本忠雄）
　後藤明生「挟み撃ち」――都市小説の浮遊感覚（島田雅彦・坪内祐三・坂本忠雄）
　坂口安吾「風と光と二十の私と」――奔流するエッセイの零度の場所（中島一夫・福田和也・坂本忠雄）
　谷崎潤一郎「鍵」「瘋癲老人日記」――企まれた虚実の摩擦（小林信彦・宮本徳三・坂本忠雄）
　太宰治「斜陽」――巧緻の現在性について（江國香織・柳美里・坂本忠雄）
　幸田文「流れる」――過剰な視線・野生の奔流（角田光代・坪内祐三・坂本忠雄）
　中原中也「全詩歌集」――陥没の場所で聴く世界の響き（秋山駿・吉増剛造・坂本忠雄）
　昭和から平成への文学の変位（坪内祐三・福田和也・坂本忠雄）

（中島一夫）