2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

マンチェスター・バイ・ザ・シー(ケネス・ロナーガン) その2

必要以上に精神分析的に作品を「読んで」みたのも、ほかでもない、どうやら精神分析は「終焉」したらしいからだ(『表象11』ほか)。この作品が、どこか「安心」して見られるのは、このように主人公が、トラウマを抱えた典型的な精神分析的主体だからでもあ…

マンチェスター・バイ・ザ・シー(ケネス・ロナーガン) その1

後半、主人公のリー(ケイシー・アフレック)が夢を見る場面がある。夢の中で娘たちに「お父さん、私たち燃えてるの?」と問われる場面だ。 言うまでもなく、これはフロイト『夢判断』にある高名な夢――死んだ息子が父親の夢に現れ、「お父さん、僕が燃えてい…