2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

回心と転向――大江健三郎の二段階「転向論」その3

渡辺と中野の往復書簡(一九四九年三月『展望』)における核心的なくだりは、「歴史的必然」(史的唯物論)をめぐる部分である。中野はこう書いている。 あなたは、「人間が機械や制度やイデオロジーや或は神の奴隷となり道具となって、死闘して、必然性に即…

福田和也の後で批評を書くことは野蛮である

ユリイカ 2025年1月臨時増刊号 総特集◎福田和也 ―1960-2024― 作者:重松清,古屋健三,伊藤彰彦,平山周吉,鈴木涼美,町田康 青土社 Amazon 『ユリイカ』2025年1月臨時増刊号 総特集 福田和也――1960-2024」に、「私にとって福田和也を語ることは、ほとんど自分を…

回心と転向――大江健三郎の二段階「転向論」その2

大江がカルヴァンの「第二の回心」と呼んでいるのは、カトリックからプロテスタントへの「第一の回心」(渡辺は「突然の回心」と呼ぶ)にしたがって、同志らとともにジュネーヴで続けた改革運動に失敗し、追放された後、改めてジュネーヴに戻る決意をしたこ…

回心と転向――大江健三郎の二段階「転向論」その1

吉本隆明「転向論」(一九五八年)が、中野重治『村の家』における転向を「大衆」(からの孤立)をもって正当化したとしたら、大江健三郎は「回心」によって正当化をはかったといえる。 ユダヤ=キリスト教の回心ということを――信仰の外側から見る、したがっ…