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アナキスト民俗学 尊王の官僚・柳田国男(すが秀実、木藤亮太)その2

おそらく、本書において、最も疑問や批判を呼ぶのは、戦前から戦後の転換期に、フロイト「トーテムとタブー」のごとき「王殺し」を見ようとするくだり(第三章)だろう。もちろん、この「王殺し」は、天皇主権から国民主権への移行に「革命」を見るという、…

アナキスト民俗学 尊王の官僚・柳田国男(すが秀実、木藤亮太)その1

アナキスト民俗学: 尊皇の官僚・柳田国男 (筑摩選書)作者: 絓秀実,木藤亮太出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/04/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 7月8日(土)、本書の刊行記念トークイベント「アナキズムと柳田国男―「戦後天…

群島と大学 冷戦ガラパゴスを超えて(石原俊)

「週刊読書人」6月30日号に、上記の書評が掲載されています。 下のウェブ版でも読めます。http://dokushojin.com/

タイム・スリップの断崖で(すが秀実)

タイム・スリップの断崖で [ スガ 秀実 ]ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 政治ショップ: 楽天ブックス価格: 2,484円 本書の書評が、「週刊読書人」2月10日号に掲載されています(以下のwebでも読むことができます)。http://dok…

天使の誘惑(新木正人)

天使の誘惑作者: 新木正人出版社/メーカー: 論創社発売日: 2016/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 68年革命の渦中で書かれたこれらの言葉を、まともに論じる能力も資格もない(詳しくは、すが秀実による『遠くまで行くんだ』復刻版の「解説」…

なし崩しの果てーープチブルインテリゲンチャ、平野謙

子午線──原理・形態・批評 Vol.5作者: 下村康臣、武田崇元、松本圭二、中島一夫、手塚敦史、宿久理花子、木藤亮太、大澤南出版社/メーカー: 書肆子午線発売日: 2017/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る1月15日刊行の『子午線』vol,5…

内野光子「タブーのない短歌の世界を」

触れそびれていたが、昨年の重要な論考の一つに、内野光子「タブーのない短歌の世界を 「歌会始」を通して考える」(『ユリイカ』2016年8月)があった。 歌人である内野は、自ら短歌空間の渦中にいながら、いかに短歌が天皇制と密接に関わっているかを論じ…

小説技術論(渡部直己)

小説技術論作者: 渡部直己出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2015/06/23メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る この批評家による近作である本書と『日本小説技術史』とを、今ひとつ自らの関心に引きつけあぐねていたが、最近ようやくそれが…

論集 蓮實重彦(工藤庸子 編)

論集 蓮實重彦作者: 工藤庸子出版社/メーカー: 羽鳥書店発売日: 2016/07/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る上記に、「批評家とは誰か――蓮實重彦と中村光夫」を寄稿しています。 執筆者は以下のとおりです。http://www.hatorishoten.co.jp…

伯爵夫人(蓮實重彦)

遅ればせながら、この話題作を読んだ(『新潮』4月号)。 冒頭近くに「それにしても、目の前の現実がこうまでぬかりなく活動写真の絵空事を模倣してしまってよいものだろうか」とあるように、さまざまな映画や小説あるいは作家を想起させるような記号がちり…

記号と機械(マウリツィオ・ラッツァラート)

記号と機械: 反資本主義新論作者: マウリツィオラッツァラート,Maurizio Lazzarato,杉村昌昭,松田正貴出版社/メーカー: 共和国発売日: 2015/12/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る今号の「週刊読書人」(2月26日号)に、上記の書評が掲…

マルクス主義における再生産論的転回(沖公祐)

現代思想と政治: 資本主義・精神分析・哲学作者: 市田良彦,王寺賢太出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2016/01/22メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る ご恵投を受けた『現代思想と政治』(市田良彦 王寺賢太編)には、興味深い論考がずらっと並…

帝国主義の尖兵――文学・転向・擬制

上記連載を、近々刊行の『子午線 原理・形態・批評』vol4にて開始します。初回は、中村光夫を論じました。http://shoshi-shigosen.co.jp/books/shigosen4/ 中村光夫『二葉亭四迷伝』の冒頭に、中村が、染井霊園の二葉亭の墓を訪れたエピソードがあります。…

千坂恭二『思想としてのファシズム』

思想としてのファシズム作者: 千坂 恭二出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2015/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 戦後が忌避してきた、軍や戦争、死への思考をとり戻そうとする本書は、安保法案反対を、「戦争反対」のロジックと言葉…

子午線 vol.3 原理・形態・批評

子午線 vol.3―原理・形態・批評出版社/メーカー: 子午線 原理・形態・批評発売日: 2015/05メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 「大阪都構想、是か非か」をめぐる住民投票が終わった。特徴的だったのは、それが勝者も敗者もともに「民主主義…

江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学(小谷野敦) その2

繰り返せば、その時「政治と文学」の二項を媒介したのが、「人民戦線=青春」だった。ここにおいては、中野重治が転向して私小説を書くことも、小林秀雄が「私小説論」において、私小説をマルクス主義のタームで捉えることも、すべて「同心円」の中で矛盾な…

江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学(小谷野敦) その1

江藤淳と大江健三郎: 戦後日本の政治と文学 (単行本)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/02/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 上記の書評が、「週刊読書人」4月24日号に掲載されています。 以下、本書の内容とは…

現代思想の使命

浅田彰、中沢新一、東浩紀の鼎談「現代思想の使命」(『新潮』4月号)を面白く読んだ。 マルクス主義や毛沢東主義が「知識人の阿片」(レイモン・アロン)として退けられたうえで、今こそドストエフスキーだ(東)、いやニーチェ(的な「末人」)だ(浅田)…

三島由紀夫『詩を書く少年』

花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)作者: 三島由紀夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1968/09/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 71回この商品を含むブログ (90件) を見る 三島を面白いと思ったことはない。 機会があって、三島自身が文庫解説で、…

「嘘」に塗れていた2014年の言葉たち

「週刊読書人」12月19日号「論潮」に、上記の年末回顧が掲載されています。 連載を読んでくださった方々、一年間どうもありがとうございました。

代表制+資本主義そのものを問う選挙

「週刊読書人」12月5日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。

ネオリベ化する大学

「週刊読書人」11月7日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。 大学解体=崩壊は、大学教員にとっては自己解体=崩壊である。 いまや何をやっているのかよくわからない、奇々怪々な場所となった大学に立っていると、以前は分かるようでよ…

冷戦後の不可避的な移行 朝日新聞問題と従軍慰安婦問題

「週刊読書人」10月3日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。

期せずして問題化される「帝国」

「週刊読書人」9月5日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。ーーーーーー 若干補足しておく。 「論潮」に述べたように、柄谷行人は、新刊『帝国の構造』において、ソ連やユーゴは解体してしまったのに、なぜ中国は崩壊しなかったのかと問…

蓮實重彦『ボヴァリー夫人』論

「ボヴァリー夫人」論 (単行本)作者: 蓮實重彦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/06/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (21件) を見る 上記の書評「小説という現実を生きる」が、「共同通信」の配信で、今後各地の新聞読書欄に掲載される予定です…

ピケティ・パニック 資本主義は民主主義に隷属するか

「週刊読書人」8月8日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。

日本に近代市民社会は成立しているか

「週刊読書人」7月4日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。 訂正:「たったひとりきりの〈一者〉」→「たったひとつきりの〈一者〉」 若干、内容の補説をしておきたい。 今回、柄谷行人の『探究Ⅱ』において、「市民社会」は「交通空間」へ…

天皇制の隠語(すが秀実)

天皇制の隠語作者: スガ秀実出版社/メーカー: 航思社発売日: 2014/04/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る 一言でいえば、最近の著者は、『吉本隆明の時代』、『反原発の思想史』と、(広義の)アナーキズムの蔓延に対して、ボルシェビズム…

「スキゾ」から「アスペ」へ

「週刊読書人」6月6日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。

リオリエント的歴史観への転回

「週刊読書人」5月9日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。