2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争をふせぐ歴史観――「党」のクビまで引っこ抜かないこと その3

いずれにせよ、この共産党と純文学の純粋性(を見る視点)は、プロレタリア文学運動の挫折後に、徐々に変質していくほかはない。平野謙が、純文学変質説や、疎外された「負傷者」たちの「人民戦線」史観を模索していくゆえんである。もはや、このとき平野に…

戦争をふせぐ歴史観――「党」のクビまで引っこ抜かないこと その2

すがは、戦時下抵抗のルネッサンス論と見なされがちな『復興期の精神』(一九四六年)を、花田自身は「アンチ・ルネッサンス論」と主張していたことに注目する。そして、花田のいう「復興期=ルネッサンス」は、「文学史的には「昭和十年前後」(平野謙)と…

戦争をふせぐ歴史観――「党」のクビまで引っこ抜かないこと

遅ればせながら、すが秀実「花田清輝の「党」」(「群像」2022年3月)を読んだ。 以前、何度か触れたことだが、花田清輝は、現代史を「〔…〕二つの戦争によってきりとらずに、逆にそれらの二つの戦争に終止符をうった二つの革命によって――つまり、ロシア革…