2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

制度、リアリズム、転向 その3--中村光夫、蓮實重彦、すが秀実

もう何度も触れてきたが、「転向」の問題を「告白=弁明」の問題として捉えかえした点において、蓮實重彦とすが秀実の対談「中村光夫の「転向」」(一九九三年十二月「海燕」。蓮實『魂の唯物論的な擁護のために』所収)は、「転向」を考えるうえで画期をな…

制度、リアリズム、転向 その2――柄谷行人「近代文学の終り」について

資本主義の商品aとbとの「等価交換」の原理が、aやbの中に「労働力商品」をも捕獲し、その結果「社会」全体を包摂するに至った時、「リアリズム」が価値尺度となる。 近代資本制の要諦をなす等価交換システムが、商品化された労働力を疑似的中心とする商品世…

制度、リアリズム、転向 その1

あくまで整理ノートとして。 沖公祐は、「市場が制度をつくるのではない。しかし、資本主義における制度は市場から切り離されたものではありえない。資本主義のもとでの制度とは、市場と社会が切り結ぶところに立ち現われてくるものである」(「制度と恐慌」…

「新しい生活様式」について

「新しい生活様式」は、決して「新しい」ものではなく、いわゆる(多文化主義的)「寛容」の完成形態に思える。 ネオリベ以降、われわれは他者と適切な距離を置くべきだとする、「寛容」な社会を求められてきた。あらゆるハラスメントはアウト、もちろん人種…