2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ローサは密告された(ブリランテ・メンドーサ)

主演女優のジャクリン・ホセが、東南アジアの女優では初めてカンヌ国際映画祭主演女優賞(2016年)を受賞したことでも話題となった作品だ。 フィリピン、マニラのスラム街。その片隅でサリサリストア(雑貨屋)を営む夫婦には四人の子供がおり、生活は貧しい…

君の膵臓をたべたい(月川翔)

すでに盛んに言われているように、本作は(少なくとも映画版は)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(小説2001年、映画版2004年)と似ている。だが、本当に目を引くのは、むしろ類似ではなくその差異だ。 いちいちストーリーは追わないが、まず本作『キミスイ』…

22年目の告白――私が殺人犯です(入江悠)その2

東浩紀の新刊『観光客の哲学』とは、「必然性」の最後の領域と思われてきた「家族」にまで、「偶然性」を導入した「思想」にほかならない。 世界は「偶然性=確率性」で覆い尽くされていると見なすこと。そこで言われる、「「まじめ」(必然性)か「ふまじめ…