2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

帝国主義の尖兵――文学・転向・擬制

上記連載を、近々刊行の『子午線 原理・形態・批評』vol4にて開始します。初回は、中村光夫を論じました。http://shoshi-shigosen.co.jp/books/shigosen4/ 中村光夫『二葉亭四迷伝』の冒頭に、中村が、染井霊園の二葉亭の墓を訪れたエピソードがあります。…

大衆天皇制論と共和国

松下圭一の高名な「大衆天皇制論」(1959年)は、一見大衆天皇制の社会学的な分析に終始しているようで、読み直してみると、その「続編」(「続大衆天皇制論」)では、大衆天皇制への抵抗として、共和制がかなり積極的に掲げられている。 状況としての大衆天…

独裁者と小さな孫(モフセン・マフマルバフ)

その声ひとつで、街中の灯りを点灯・消滅させる権力を手中にしていた老独裁者が、クーデターによって大統領の座を追われ、愛する孫の手を引いて、命からがら国内を逃亡する。ある時は羊飼いに、またある時は旅芸人に変装し、ついにはかつて自らが裁いた政治…