2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学(小谷野敦) その2

繰り返せば、その時「政治と文学」の二項を媒介したのが、「人民戦線=青春」だった。ここにおいては、中野重治が転向して私小説を書くことも、小林秀雄が「私小説論」において、私小説をマルクス主義のタームで捉えることも、すべて「同心円」の中で矛盾な…

江藤淳と大江健三郎 戦後日本の政治と文学(小谷野敦) その1

江藤淳と大江健三郎: 戦後日本の政治と文学 (単行本)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/02/25メディア: 単行本この商品を含むブログ (13件) を見る 上記の書評が、「週刊読書人」4月24日号に掲載されています。 以下、本書の内容とは…

被害者メンタリティーについて

「自分こそ被害者」という「被害者メンタリティー」が蔓延している。コミュニケ―ション社会においては、誰もが明確な「位置」を取り得ない。そこでは、人は常に「買い手」に立とうとする欲動に突き動かされている。「被害者」の位置に立つことは、いわば常に…

ポジティヴであることについて

現在、ポジティヴであること、行動的、意志的であることを、否定的に捉える人は少ないだろう。それは、時代の空気として、そうあらねばならないようなイデオロギーとして機能しているとすら言える。ならば、このイデオロギーが生まれたのはいつなのか。 少な…

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(モルテン・ティルドゥム)

ナチス・ドイツの暗号=エニグマを解読した、イギリスの数学者アラン・チューリングの実話に基づく物語。「イミテーションゲーム」とは、エニグマを解読したことをドイツに悟られないようにするために、暗号を解読した瞬間から、戦争が相手をかく乱するゲー…