2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

リアリティのダンス(アレハンドロ・ホドロフスキー)

この自伝的な新作のタイトルが明確に示しているように、ホドロフスキーにとって、歴史の真実は存在せず、したがって「リアリティ」は「ダンス」のように乱舞している。冒頭、舞い踊る貨幣のように。貨幣は、一か所にとどまっていては価値を生成しない。ダン…

グレート・ビューティー 追憶のローマ(パオロ・ソレンティーノ)

前作『きっとここが帰る場所』もそうだったが、この人のフィルムは、今まで見たことがない感覚に満ちている。イタリア、ローマの落日を、こんな風に描くやり方があったかという驚き。 狂騒的なパーティーの中に、初老でダンディなセレブ作家「ジェップ」(ト…

期せずして問題化される「帝国」

「週刊読書人」9月5日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。ーーーーーー 若干補足しておく。 「論潮」に述べたように、柄谷行人は、新刊『帝国の構造』において、ソ連やユーゴは解体してしまったのに、なぜ中国は崩壊しなかったのかと問…