2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ディス/コネクト(ヘンリー=アレックス・ルビン)

冒頭、少年がアパートメントの各部屋を縫うように、宅配の段ボール箱を運び送り届けている。運び終わって自分の部屋に戻り、ノートPCを開ける。ネットを開けることで、分かたれたアパートの各部屋もつながってくるかのような感覚を覚える。作品のテーマを…

妥協せざる人々(和解せず)(ストローブ=ユイレ、1965年)

久しぶりにストローブとユイレの初期作品を見る機会を得た。すっかり忘れていたが、彼らの作品にしては、ずいぶん動きもドラマもあっていささか驚いた。記録映像の挿入(スクリーンプロセス)などもある。 原作は、ハインリヒ・ベル『九時半の玉突き』(1959…

ある過去の行方(アスガー・ファルハディ)

今、最も新作を心待ちにしている映像作家のひとりだ。そして、その期待をまったく裏切らない出来栄えである。ますます緻密になった脚本には、凄みすら覚える。 この監督の作品に「で、結局、どういうことだったの?」と問うてはならない。謎解きではないのだ…

リオリエント的歴史観への転回

「週刊読書人」5月9日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。