2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧

コーヒーをめぐる冒険(ヤン・オーレ・ゲルスター)

朝、一日の始まりにコーヒーを飲みたくなり、あなたはカフェに入る。だが、あなたの注文したコーヒーだけが、なぜかやってこない。挨拶をしたのに、返してもらえなかったような気分だ。そのうち時間切れになり、あなたは小さな疎外感を抱きながら店を出る。 …

アデル、ブルーは熱い色(アブデラティフ・ケシシュ)

いかにも堅実な市民が暮らしていそうな、庭付きの白い色の家から、まだあどけなさの残る高校生の少女「アデル」が出てくる。「アデルの人生、第一章、第二章」の原題のとおり、このあと作品は、学生時代から教師になっていくまでのアデルの青春時代を、三時…

ねこにみかん(戸田彬弘)

この家には、「チチ」と呼ばれる父一人と、「ハハ」「カカ」「ママ」と呼ばれる母三人がいる。 そして、その父と三人の母の間には、それぞれ17歳になる子供が一人ずつおり、さらに彼らの誰とも血がつながっていない養子(28歳)が一人いる。 こう書けば…

北朝鮮強制収容所に生まれて(マルク・ヴィーゼ)

模範的な「囚人」同士を、最高の栄誉として結婚させる、いわゆる「表彰結婚」の両親から生まれたシン・ドンヒョク。彼は、生まれながらの政治犯として、外の世界を知らないまま育った。そこでは夫婦になるといっても、共に生活することなど許されない。だか…

すべてが物語となる中で

「週刊読書人」4月4日号「論潮」に、上記今月の論壇時評が掲載されています。