2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

瞳の奥の秘密(ファン・ホセ・カンパネラ)

いつもは、あまり、おすぎと映画の感想が合わないのだが、この作品については同じ意見だ。 「今、見なければ、一生後悔する秀作」。 確かに、この作品には、ストレートな形容がよく似合う。たとえば、「久し振りに大人の映画を見た気分だ」とか、「登場人物…

現代人は救われ得るか 平成の思想と文芸(福田和也)

現代人は救われ得るか―平成の思想と文芸作者: 福田和也出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/06メディア: 単行本 クリック: 28回この商品を含むブログ (6件) を見る 「週刊読書人」8月27日号に、上記文芸評論集の書評「鴎外の憂鬱」が掲載されています。

キャタピラー(若松孝二)

戦争を描くとはどういうことなのか。いや、もっとはっきりいえば、「反戦映画」とは何か、考えさせられた。 第二次大戦中、中国戦線に出征した「黒川久蔵」(大西信満)は、傷痍軍人として帰還する。だが、その四肢は根元から切断され、顔の右半分はケロイド…

インセプション(クリストファー・ノーラン) その2

愛し合っていた妻という他者に関する現実の記憶を、それが禁じ手であるにもかかわらず、自らの夢に再現してしまうコブにとって(『惑星ソラリス』を想起させる)、もはや夢の外部は存在しない。「その1」で述べた意味において、ラストシーンは、コブ自身が…

インセプション(クリストファー・ノーラン) その1

一分の隙もなく構築された建築物といった印象だ。 前作『ダークナイト』で示された、神(超越性)なき「悪」の空間を、本作では、縮減する現実を一気に包摂しにかかる虚構(夢=潜在意識)の空間としてさらに展開、二時間半の覚めることのない「夢」へと観客…

悪と仮面のルール(中村文則)

悪と仮面のルール (100周年書き下ろし)作者: 中村文則出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/06/30メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 41回この商品を含むブログ (19件) を見る [rakuten:book:13834876:detail] すっかりご無沙汰してしまい、ログインの仕方…